「"It"と呼ばれた子」幼年期・少年期・完結編 デイヴ・ペルザー ヴィレッジブックス

 忙しくなって本をしばらく読まなかった時に読み始めた本。売れて
る本だってのは知ってたけど、児童虐待の本とは聞いていたのでなぜ
か敬遠気味だった。そして今回軽い気持ちで最初だけ読んだら、興味
持てたので購入。
 本作品は三部作となっていて、著者が、子供の頃に虐待を受け、ど
のようにその後の人生を送ったかを書いている。。もともとは幼年期
と少年期が最初に発売されたらしい。今ではさらにもう一つあるそう
だ。この文は三部作読みきってから書いた。
 幼年期について。とにかく最初思ったのは、文字がでかすぎ!って
こと。最初は金儲けのためにこんな三部作構成にしたんだろ!みたい
に思ってたけど、今思うと「幼年期」は小さな子供にも読んでほしい
本にって事で大きな文字にしたんだろうな。
 正直な感想として、よく著者は生き抜いたなって思った。虐待のレ
ベルがすごくて、殴る蹴るは当たり前、食べる物を与えられなかった
り、赤ん坊の汚物を食べさせたり、洗剤とアンモニアを混ぜた物を飲
まされたり、ガスコンロで腕を焼かれたり・・・。この著者の時代では、
児童を保護する法律等がなかったようで、こんなことが許されていた
のが信じられない。ただ「幼年期」はひたすら子供の視点で虐待され
た事実を中心に書いているだけなので、最後の方は少しだれてしまっ
た。それに父親はなぜ何もしないのか、書いてないように思う。
 少年期。著者が警察に保護されて、あらゆる里親の下を転々とし、
成長していく姿を中心に書いてある。完結編とごっちゃになっている
かもしれない。
 世間の目は冷たくて、里親に育てられるなんてよほどの問題児なん
だろう、とでも考えているようだ。また幼年期に、人と接触する機会
も限定され、とてもじゃないけど対等に友達は作れなかった事情もあ
って、コミュニュケーション能力に欠如や、虐待をした母親をどう頭
の中で整理すべきか?などまだまだ虐待の事実から抜け出せていない。
こう書いてみると三部作で一番印象は薄いかも。
 完結編。三部作で一番感動的。父との再会、別れ、母との再会、対
決、別れ。家庭を持ち、子供を授かってから・・・。父親はこの頃になっ
てからは、少年期の時何もしなかったじゃない?とかは思わず、あの
頃も頑張ってたんだな?っと不思議と感じてしまう。でも、そこの所
はあまり書かれてない。それでも、著者にとって父親はヒーローであ
って、それで十分。母親に対しての、著者の態度の変化や物腰は、爽
快だし感動的。虐待した母を憎み、復讐をするのではなく、許し哀れ
みを持てたところはすごい。すべてが良い方向に進んでほほえましい
ラストだと思う。
 三部作だったので長文・駄文になってしまったが、この本を読んで
気づいたことがある。社会学の授業で「児童虐待の連鎖」などを学ん
でいたので、その部分を読んでいる時は考えさせられた。これは、小
さい頃に虐待された人は、自分が親になった時にまた、その子供を虐
待してしまうってこと。また、ここの部分は少ししか読み取れなかっ
たけど、虐待をしてしまう事の原因の一つは、母親の育児が母親任せ
になっていて、相談する相手もいなければ、協力もしてくれない、と
いう現状を示していたように思う。
 ただおもしろい本を読むのも大事だと思うけど、この本みたいに、
何かを考えるきっかけとなって、得る物がある本を読むのも大事だと
思った。名作も一度は読んでみる必要あるかもしれない。
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by middle-tempo | 2003-01-04 00:00 | book
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